vol.22 寿司という枠を超えた、「おまかせ」という新しい日本食コンセプトの浸透

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タイ国内で日本食レストランがどのくらいあるかご存知だろうか。なんと3,004店舗だ(※)。アメリカのカリフォルニア州では4,468店舗、ニューヨーク州では1,892店舗。ちなみにシンガポールでは1,459店舗である。タイでの日本食レストランの多さは他国と比較しても世界有数であることが良く分かる。

現在バンコク内の日本食レストランは既に飽和状態と言っても過言ではない。近年は特に競争が激しく、居酒屋や焼き肉は店舗数が減少している。ただ、そのような日本食の出店に厳しい状況下のバンコクでも店舗数を伸ばしている業種がある。それは寿司である。
(※)2018年JETRO資料より

バンコクに寿司店が出店されたのは無論最近ではない。寿司店「築地」は1970年代、既に日本企業駐在員向けにバンコク日本人街の歴史のスタートと共に開業している。転換期は1997年のアジア通貨危機後に景気がV字回復を見せた1999年だ。当時既に日本人駐在員向けであった高級日本食店にタイ人富裕層は多く訪れる様になっていたが、日本食レストラン「富士」は富裕層でなくても利用できる店舗として開業、人気を博した。その後、寿司・天ぷら・とんかつといった人気の日本食が一堂に楽しめる、富士と同様の中間層を意識した業態のレストランが店舗数を増やして行く。

そして、2002年にオープンした「SHABUSHI」は、しゃぶしゃぶと寿司をビュッフェ形式で気軽に楽しめることが若年層に受け、現在タイ全国で123店舗に拡大している。もはや寿司はタイ人にとって気軽に味わえるメニューの一つとなったのである。ただこれは寿司そのものよりも、日本食が中間層及び地方に波及した一つの流れである。

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ここで、より寿司にクローズアップして振り返りたい。タイは2000年以降、ASEAN内での製造拠点としての地位を確立し、日系企業の進出・拡大も急激に増加した。このことから日本人駐在員向け寿司店の数も増加していったのである。2010年を過ぎると、日本人の寿司職人がカウンター越しに接客する寿司店舗も増える。既に日本の築地からネタを空輸するのは当たり前で、その頻度や築地以外の産地直送品やその品揃えにいたるまで、サービスは発展した。

ただ、店に訪れる富裕層タイ人客は多いものの、日本人と肩を並べてカウンターに座るタイ人はさすがに限られていた。この頃から徐々に”タイ人によるタイ人の為の高級寿司店”が広まっていく。ネタの鮮度と質にこだわった店、シカゴスタイルで大人気となったスシロールバー、カウンターのみで日本の高級寿司店の様な店など、様々なスタイルの寿司店がタイ人オーナーの手によって富裕層向けに広まっていったのである。

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そして、ここ数年飛躍的に店舗数、認知度を上げている業態は

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