vol.62 大手銀行が参入!ますます競争が激化する、タイのフードデリバリーサービス事業

タイではフードデリバリーサービスが盛んだ。以前もこのミレニアル・ウォッチでタイのフードデリバリー事情について取り上げたが、当時と比べサービスが増加し、フードデリバリー事業の競争はますます激化している。今回はそのデリバリーサービス事業に銀行が参入したことを取り上げたい。

タイ国内フードデリバリーサービスの状況を見てみよう。

サービスローンチは2012年5月。フードパンダは大都市以外の地方都市でも利用することが出来る。他サービスの提供エリアは大都市に限られているが、フードパンダはタイ全国の都市で利用が可能である。今後も地方都市でのサービスを継続するか、バンコクを中心とした規模の大きい都市での新たなサービスを展開するか注視したい。またフードデリバリーにのみ特化して事業を展開しているのは、現状フードパンダのみである。

配車アプリ事業で東南アジアNo.1のグラブが展開。サービス開始は2018年2月。2018年11月に大手カシコン銀行から5000万米ドルを調達し、電子マネー決済分野で連携。翌年1月には財閥大手セントラルグループから2億米ドルを調達。セントラルは多くの関連外食企業を抱えているのでコンテンツが充実したことは言うまでもないが、外食企業だけではなく流通企業も多くを傘下に抱えていることで、買い物コンテンツの充実を急速に進め、利用者数を拡大させた。またフードサービス内のコンテンツにはミシュラン掲載店や50%オフ店舗などがあり、ユーザーニーズを掴みながら利用者数を伸ばしている。

言わずと知れたLINEが運営するフードデリバリーサービス。タイ最大のグルメレビューサイト「Wongnai」を傘下にフードデリバリー事業を強化しており、掲載店舗数は多い。支払いにもLINEの支払い機能が使えるなど電子マネー機能も充実している様に見えるが、実は現金にしか対応していない店舗が多く掲載されており、上記のフードパンダ、グラブフードと比較すると、利便性よりもプロモーション目当ての客層が一定数存在する。キャッシュレスペイメントのコンテンツを立ち上げて利便性を訴求しているものの、まだまだユーザーとしては使い難い。

2019年2月よりインドネシアのGOJEKがタイにて配車サービスの「GET Win」、宅配サービスの「GET Delivery」、フードデリバリーの「GET Food」の3つのサービスをローンチ。2020年10月よりタイでもサービス名をGOJEKとしてリブランディング。リブランディングを契機にオンライン・オフラインを問わずかなり大規模な広告活動を展開しながら、急速にタイ国内での認知を拡大させている。掲載店舗も飛躍的に増加している状況。また2019年7月にタイ大手サイアムコマーシャル銀行と業務提携を行っており、決済時に同銀行の電子決済サービスと連動して電子決済が出来る様になっている。また昨今このゴジェックとグラブの今後の動向に関するニュースが多いことをここで触れておきたい。

これらのフードデリバリーサービスは、多くのミレニアル世代が実際に使用し、認知しているサービスである。消費者にとっては有益なサービスではあるが、新型コロナウイルス問題以降に飲食店経営者に話を聞くと、あまりいい話を聞かない。店舗経営者からすると、これらのサービスを使用してコロナで減った来店客の売上を穴埋めすることは不可能なのだ。というのも、フードデリバリーサービスはGP(販売手数料)がかなり高額(25%から35%)であり、かなりの客数を捌かない限り、客単価利益は通常営業と比較するとかなり低いという。既存で掲出している店舗は露出増を目的とした広告の一環と考えていることが多く、GPが高すぎるという理由で掲載しない店舗も非常に多い。高額の手数料を支払う代わりに自前でデリバリーチームを雇用してデリバリーサービスを提供している店舗もあるほどだ。

この様な根本的なサービスの問題を打破するために、サイアムコマーシャル銀行が新たなフードデリバリープラットフォーム「ロビンフッド」をローンチすることとなった。既存のサービスと異なるのは下記の点だ。

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