vol.66 タイの百貨店事情

大丸、そごう、東急、伊勢丹、高島屋、これらはタイに進出した日本の百貨店である。古くは1964年進出の大丸から2018年進出の高島屋までタイ小売百貨店業界の中で「日本のデパート」がひとつのコンテンツとして確立されていたことは事実である。ただ日系百貨店がタイ市場におけるトレンドを担う大きな役割を果たしていたかといえば否である。昨年伊勢丹が、先月末に東急が閉店撤退したことで、タイに残る日本の百貨店は高島屋だけとなった。日本人としてはやはり寂しい話ではあるものの、昨今のタイにおける百貨店経営の厳しさは年々増しており、閉店に追い込まれているのは日系百貨店に限ったことではない。

タイの百貨店の多くは1970年代から80年代初頭に創業している。パタ、タンフアセン、ニューワールドバンランプー、メリーキングス、など。これらの百貨店で今でも営業しているのはパタとタンフアセンだが、70年~80年代の雰囲気を感じることが出来るかなりノスタルジックな商業施設だ。これらの百貨店と同時期に創業し現在でも大手小売業として継続しているのが、セントラル、ロビンソン、ザモールである。

セントラルは、タイ最大手財閥企業であり、郊外型の複合商業施設の成功が百貨店セントラルの基盤を作った。現在は商業不動産開発を主事業とし、百貨店小売業ではロビンソンも傘下に加えている。現在セントラルのみでタイ国内29店の店舗数ではあるが、純粋な百貨店は1973年にオープンした旗艦店のチットロム店だけである。他店舗はすべて複合商業施設に併設する形で営業している。

現セントラルグループ傘下のロビンソンは、かつてはバンコク都心の百貨店としては最も店舗数が多かった。バンコクの中心地であり高架鉄道及び地下鉄のアクセスのあるシーロム店、スクンビット店は純粋な百貨店であった。シーロム店は2008年に閉店、スクンビット店も閉店することが決まっている。現在はセントラルグループのセカンドブランド(中小規模都市向け)として地方を中心に店舗数を48店舗に増やしているものの、地方向け郊外型ショッピングセンターに併設されている小規模デパートとなっている。

セントラルグループは消費者の購買力や地域でセグメントをし、それぞれの市場に適正なブランドを設定し、幅広い消費者層と地域をカバーしながら店舗数を増やしていく戦略を進めている。

ザモールは、バンコクを中心に7店舗展開する郊外型大規模ショッピングモール併設百貨店なのだが、ザモールグループとして高級百貨店エンポリアム、サイアムパラゴン(サイアムピワット社と合弁)、エムクォーティエ等を展開している。セントラルは財閥企業の大枠として商業不動産開発事業が存在し、その傘下に小売事業があるのに対し、ザモールは小売百貨店事業が主事業であり、そこから派生させて事業を拡大している点は大きく異なる。展開地域もバンコク以外では一部の観光エリアにのみ展開しているだけである。

昨今は、ハイパーマーケットがレストランや娯楽施設を伴いショッピングモール化しており、上記の百貨店の競合となっている。特に地方都市ではこれらのハイパーマーケットが地場百貨店にとって代わっている。ハイパーマーケットが地方都市で急速に店舗数を増やしており、さながら陣取り合戦の様相を呈している。すでにテスコロータスやビッグCといったハイパーマーケットと、新たに地域戦略として出店したセントラルグループのロビンソンが競合している状況をよく目にする。

バンコク中心部の集客力が高いショッピングモール内であっても、

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