vol.67 大学生も気になっているパーソナルケアのD2Cブランド店舗を体験してみた

2021年1月、大学の講義の一環として、大学生に「ミレニアル世代&Z世代を主たる対象とした日本企業の製品・サービス」をテーマに、気になっているものを挙げてもらった。回答者は150名で、内容を分類していくと、「KINTO ONE」「メチャカリ」などのシェアリングサービスや、「subsclife」「HafH」などのサブスクリプションサービス、「タップル」などのマッチングサービスなど、非常に幅広い製品・サービスが挙げられた。2020年春にも同様のアンケート回答(ただし、製品・サービスは、国内発・海外発を問わず、としていた)を得たが、その時と比較し、今回コメントが多く見られたのが「D2Cビジネス」に関するものである。そこで今回は、D2Cビジネスの区分の中でも複数の学生が気になっていると回答したサービスを体験してみた。

 MEDULLAは、サイト上で、自身の髪質やなりたい仕上がり、希望の香りを回答していくことで、自分の好みに合ったオーダーメイドシャンプーが届くというサービスである。販売は、シャンプーとリペアがセットで、月額6,800円(税別)のサブスクリプション形式だ。シャンプーとトリートメントとしては高価格帯に入るが、2018年5月にローンチされ、2020年5月時点の会員数は約14万人という。当初はネット販売のみでスタートしたが、その後、オフラインの顧客接点として、国内でポップアップストアを複数回展開しつつ、現在は東京の有楽町マルイに、ポップアップストアから常設となった店舗を構えている。この実店舗では髪質診断もできるということで、事前にLINEアカウントを登録し、そこから予約した上で訪問してみた。

2月下旬の休日に訪れると、開店後間もない時間ではあったものの、既に2,30代の女性が1人、接客テーブルで店員と話していた。店舗自体はそこまで広くないものの、カラフルな商品が整然と並べられていたり、シャンプーに含まれる成分がところどころ配置されていたりと、シンプルだけどこだわりの感じられる空間になっていた。

女性スタッフに予約名を伝えると、テーブルに案内され、髪質診断を始めてくれた。タブレットを使い、アンケートに答えていく形で診断は進んだ。年齢やカラーリング、縮毛矯正の有無等、ふだんの状況を確認した後、いよいよ実店舗ならではの画像診断だ。これは専用の機械をスタッフが操作し、頭皮の写真を撮ってくれる。頭皮と毛穴の状態から、髪年齢や頭皮のトラブル状況などが数値化され、どの項目を改善したらいいかが分かるようになっている。自分の頭皮の写真はなかなか見る機会もなく新鮮ではあったが、診断という言葉から、髪をじっくり見てもらいながらアドバイスされるのかな?と期待していただけに、コロナ禍で髪に触れる時間も極力減らさざるを得ないことは仕方のないことだとはわかっているが、少し物足りなさを感じた。

画像診断の後は、シャンプーにどのような仕上がりを期待するかなどのアンケートに答えていく。仕上がりは、しっとり、つるつる、さらさら等いくつかの項目から順に3つまで選択できるようになっている。最後に好みの香りを5種類の中から1つ選ぶのだが、実際に香りを試して選ぶことができるというのも実店舗ならではの特徴だ。スタッフは、マリンベルガモットの香りが店舗で一番人気だと紹介していたが、詳しく聞くと、ネットでの注文と店舗で実際に試した人たちが選ぶ香りは少し異なっているということだ。商品購入希望の場合、タブレットからWEBサイトと同じ登録フォームを使って会員登録をし、マイページの使用方法等を教わって、終了まで30分程度かかる。終了してから15分後くらいだろうか、LINEの方に、来店の御礼と店舗で見ていた画像診断の結果画像が送られてきた。

診断終了後店舗を見渡すと、やはり2,30代と思われる女性客が数名増えていた。スタッフによれば、女性だけでなく男性も、男女のカップルや男性一人で来ると言う。お店の外観からは何となく入りづらいものの、髪の悩みを相談する場所がないという声もあるらしい。メンズ美容の市場が拡大していることを考えると、こうした男性の悩みの受け皿は増えていくのだろうと感じる。また、最近は小学生が親と一緒に来店することも珍しくないそうだ。

サブスクリプションビジネスにおいて気になるのは、継続率だ。MEDULLAでは、次回の商品の製造日前までにフィードバック期間を設けており、そこで仕上がりのリクエストや香りの変更等を受け付け、次の製造に反映する仕組みをとっている。ローンチ当初は8割超の継続率という記事も出ていた。現在の数字は明確には分からないが、スタッフの話では、やはり6,800円という金額は高価格にあたるので、割引のきく初回で終わってしまう人もおり、継続している人はミレニアル世代以上で、年代が高めの人も多いとのことだ。

あいにく、初回注文分が届くのが本記事の配信日に間に合わないため、受け取った際の印象や使用感について触れられないのが残念だが、いつものシャンプーとはまた違った効果や香りをじっくり楽しめることに期待したい。

今回は商品ではなく店舗体験がメインとなったが、同ブランドでは商品だけでなく、診断やその後のフィードバック、それが反映されてより自分に合った商品が届くことなどの一連のサービス体験そのものが顧客に寄り添っていること大切にしている。その中で気になったのは、商品に関するポジティブな発信だけでなく、問い合わせ対応や解約手続きについてなどのネガティブなコメントがSNSやネット上に散見されることだ。サブスクリプションサービスが珍しくなくなってきている中、例えば動画配信サービスについて、その時々の必要に応じて登録&解約を頻繁に行い、コストを抑えながら複数サービスを上手く使い分けるミレニアル世代もいた。そういう使いこなしが当たり前になりつつある世代にとっては、サービスの出口までもストレスのない設計が不可欠になるだろう。

MEDULLAはD2Cブランドとして、プロダクトの販売という顧客との繋がり方ではなく、診断結果をもとにした処方によって約3万通りの可能性がある中で、製造ラインを管理し、顧客からのフィードバックを次回商品に反映して届け続けるという大きなチャレンジをしている。ほかにも、顧客とのやりとりをネットで完結させるだけでなく、オフライン店舗によってネットでアプローチできない人との接点を作り出したり、美容院や美容師と提携することで、美容師と顧客という既に築かれた関係性の中に商品との接点を作り出している点も興味深い。MEDULLA運営会社の株式会社Spartyは、新たにスキンケアの領域でD2Cブランド「HOTARU PERSONALIZED(ホタル パーソナライズド)」も展開しており、MEDULLAで培われたD2Cブランドの戦略が生かされていると思われる。顧客と深く継続して繋がっていくこと、そして、新たな顧客と広く接点を作っていくことの両軸という点で、今後も両ブランドに注目していきたい。

Written by Yuko Hama/Tokyo
Edited by Global Millennial lab

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